整備アーカイブになります。日産デイズ 距離は134793km。エンジン型式は3B20ターボ データは2022/02/16
症状はエンジン始動せず。(セル回る)です。JAFのレッカーで引き上げられてきたようです。
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営業の方に「ちょっと故障診断お願いします」ということで依頼されました。
本当はここでご本人と問診出来れば一番良かったことが後で悔やまれます(´;ω;`)
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早速診断を試みますが、セルが重くてバッテリーが上がったような症状になります。
営業の方によると、ロードサービスでもかなりセルを回してみたんだが、
エンジン始動出来なかったの事で、ガンガン回されたことが想像できます。
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また、この症状はいつからどんな感じでなったのか?というと、
「普通に家について、翌朝エンジンを掛けようとしたらもう駄目だったらしい」←これが後で悩ます原因になった?
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早速ジャンピングしてバッテリーを予備のものに変えてエンジン始動を試みますが、確かに全く初爆もありません。
キーONしても燃料ポンプが回ってない感覚があったので、
給油口に耳を当ててセルを回してもらいますが、ポンプ作動音が全くしません。
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「おっと、ポンプ逝ったか?」簡単簡単(⌒∇⌒)簡易ですが、
スロットルからブレーキクリーナーを吹いてエンジン始動出来るか?試みます・・・が、初爆すらありません。
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あれ?おかしいな・・・。原因が一か所で単体の不具合ならこれで裏が取れるんだが・・・。
ダイレクトイグニッションコイルにアクチュエーターテスターを当てて点火しているか確認します・・・。
全く反応しません(;^_^Aえっもしかして・・・。
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プラグを外してエンジン三大基本点検である良い火花を確認すると・・・。
先ほど吹いたブレーキクリーナーがべちゃべちゃの状態で、クランキングしてもらいますが、火が飛んでません。
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こうなると・・・経験上、エンジン側の始動条件が揃ってない状態だなと推測し、カム角かクランク角センサーかな?
ということで、コンピューター診断機を接続し、DTCチェックをしたら、入ってました!!
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但し、日産のDTCには当社の診断機では診断できず、三菱EKワゴンでヒットしました(;^_^A
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現在故障P0335クランク角センサー不具合
一旦DTC消去して、消えた事を確認し、
再度エンジン始動できない状態のままクランキングするとすぐP0335が再点灯します。
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早速データモニターをチェックして、
クランク角センサー回転数というパラメータをチェックすると110rpm前後で数字が安定せず、
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本当に弱~い感じで一応ECMには信号が行ってる感じですが、
もう少し安定して信号が入ってもいい?(だってセルモーターの回転は一定ですから)
点検をしながら、時折エンジン内で「カラカラ」と一瞬異音が出ているが、
しばらくすると消える・・・。この時はあまり気にも留めませんでした・・・。
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それではクランク角センサーを単体で点検します。
このセンサーはタイミングチェーンカバーに刺さっているわけではなく、エンジンブロックに刺さっていました。
これが何の意味を持つのかは、よく考えてませんでした。ドライブシャフトの近くで少しやりずらいです。
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リフトアップしてセンサーカバーを外してから
(真上にタービンがあります。恐らくタービンオイル漏れの際、センサーにかからないようにする為)
センサーを外します。
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単体点検を試みますが、何だか樹脂の内部が溶けて出てきたようなものが付いてました。
抵抗も140メガΩ位でちょっと大きいです。一応、クランクセンサーのカプラーの入力点検も行います。
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一般的なものはそんなに難しい回路ではなく3極で、
真ん中がGND、両端が5.03Ⅴと4.98Ⅴで、ベース電圧とコレクター電圧としては、こんなもんかなという感じです。
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念のため、カム角センサーも参考値で見てみると、
こちらも三極で真ん中GND、両端は5.03⇔5.03で制御は一緒の様です。
4.98Ⅴの少しの違いはよく判りませんでしたが、誤差の範囲だと思ってました。
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単体点検はカム角は安定していて、1.2ⅯΩでした。クランク角と抵抗値が違います。
データモニタのカム角のパラメーターは当社の診断機では見ることが出来ません。
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が、DTCに出てるし、センサー単体でも何だか違和感もあるし、センサー交換すれば多分治るだろう。
大丈夫。ということで、センサー交換見積もりを出して、お客様へご承認を頂いて、部品が来るのを待って作業します。
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「さーて、ちゃっちゃと交換して、次の作業に入らなきゃ・・・」
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よし。エンジン始動を試みます・・・。
が、ダメです・・・。(-_-;)マジか?!でもDTCは消えました。初爆は一瞬あったのですが、その後、ダメ。
但し、データモニターもパラメータは270rpmとクランク角の回転は安定して倍以上に拾うようになりました。
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何じゃこりゃ???そして時折セル回すと「カンカン」音するし・・・。
一応、アクチュエータテスターにてイグニッションをチェックするとやはり発光しません。
(連続点火してない)プラグを外すと・・・かぶってる!!!
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燃料は行くようになったんだ・・・。DTCも消えてる。
・・・本当に突然エンジンが始動できなくなったんだろうか・・・。
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疑念が頭を駆け回ります。あ~~~わかんね~(-_-)/~~~ピシー!ピシー!。・・・しばらくすると、また暗号のようにDTCが復活してきました(爆)
それもまた同じコード。P0335。
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ここでオシロスコープか、メーカー専用の診断機でカムとクランクの同期をチェックしたいのですが、
そんな設備はございません。
ここで諦めるのが一般的な故障診断。
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さあ、ここからが変態整備士のスタートです。アイデアを考え、何とかする。
もちろん今度は正しいデータも必要になります。日産から貴重なサービスデーターを頂きます。
(これが本当に後で役に立ちました。あざっすm(__)m)
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とまずはここまで。つづく・・・。
それでは皆様、ご安全に♪